製品概要

化学プロセス等で使用される大口径鋼製フランジは、温度サイクル、腐食性流体、シール面の不均一性などの要因により、長期間のシールに問題が生じる場合があります。また、通常の一体型のガスケットでは、その大きさゆえに、価格や輸送コスト、納期の長期化などを考慮する必要があります。

大型の鋼製フランジガスケットのシール課題
  • 高温サイクル
  • 圧力変化
  • 腐食性流体
  • シール面の不均一性
ゴア® ガスケットテープシリーズ500
ゴア® ガスケットテープシリーズ500と一体型ガスケットのシール性比較試験

ゴア® ガスケットテープ シリーズ500は、スプールに巻かれたテープ状のガスケットであるため、さまざまな形状のフランジに迅速かつ簡単に装着できるコストパフォーマンスに優れたガスケットです。非常に優れた耐クリープ性を備え、長期にわたる耐久性が必要とされるさまざまな大口径鋼製フランジ用途、特に熱サイクルの発生する用途において高い信頼性を発揮します。

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アプリケーション

ゴア®ガスケットテープシリーズ500は、プロセス条件の厳しいさまざまな用途、特に高温サイクルを伴う用途において、多様な形状のフランジに信頼性の高いシールを迅速にもたらすことのできるガスケットテープです。

ガスケットに要求される耐熱性

ガスケットの耐熱性は、ガスケット自体の熱による劣化だけでなく、シール特性に影響するボルト応力への影響も考慮されなければなりません。
温度サイクルはフランジやボルトの熱膨張/収縮やガスケットのクリープ(コールドフロー)を引き起こします。ガスケットのクリープが大きい場合、ボルト応力の低下が大きくなり、シール性が低下します。そのため、温度サイクルを伴うプロセスでは、シールを長期間維持するために、クリープの小さい耐熱性の高いガスケットが必要となります。

腐食性流体、熱サイクルを含むプロセス:

  • 化学工業
  • パルプ & 製紙工業
  • 鉱業
  • 半導体製造装置
  • 電力

大口径・規格外寸法の鋼製機器フランジ:

  • ベッセル、タンク、&マンホール
  • 大口径配管
  • 熱交換器
  • バッフル
  • 異形のフランジ(長方形、…)
ゴア® ガスケットテープシリーズ500の用途
熱交換器、タービン、カラム、リアクター、ミキサー、タンクなど、ゴア® ガスケットテープシリーズ500の多様なアプリケーションを図で紹介します。

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、耐熱性、耐薬品性に優れ、熱サイクルを伴うプロセスや腐食性流体のプロセスなど、さまざまな用途で高いシール性を維持します。

性能上の使用メリット

ゴアは数十年前にフォームインプレース(現場施工できる)テープガスケットを発明しました。ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、耐熱性とシール性を新たなレベルに引き上げたガスケットテープです。このePTFEガスケットテープは、さまざまな形状のフランジに、迅速にそして簡単に施工できるので、大口径フランジでの施工性を改善することができます。

ゴアの耐熱性ガスケット素材が優れている理由
GORE Gasket Tape Series 500 easily and reliably seals large steel flanges, even in high-temperature applications.

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、高温や熱サイクルにさらされても、大型の鋼製フランジのシール性を維持することに優れています。

独自の製造技術

PTFEは延伸されることで耐クリープ性が向上するため、高温での使用にも耐えことができます。

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、ゴア独自の製造技術による延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で作られており、特に大口径や異形の鋼製フランジにおいて優れた耐熱性、シール性を実現します。

耐熱性に優れるシーラントテープ

ゴア® ガスケットテープシリーズ500の通常使用範囲は、温度範囲-60 °C ~ 230 °C、圧力範囲 中真空~ 4 MPaです。通常使用範囲を超える温度、圧力で使用を検討される場合はお問い合わせください。

約2倍の耐クリープ性を実現

ゴア® ガスケットテープ シリーズ 500は、その特殊な構造から、耐クリープ性に優れています。ゴア® ガスケットテープ シリーズ 500は、他のePTFE ガスケットテープと比較して約 2 倍の耐クリープ性を持つことが試験で示されています。

Chart shows GORE Gasket Tape Series 500 has almost double the creep resistance of other expanded PTFE tapes.

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、他のePTFEガスケットテープと比較して約2倍の耐クリープ性を有しています。(データはEN13555に基づく)

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、接続部分でも信頼性の高いシールが得られます。

高いなじみ性で、シール性を向上

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、圧縮性が高く、フランジの凹凸に容易に追従します。そのため、密閉度が高く、長寿命で、システム全体の信頼性と安全性を高めることができます。

 

 

 

 

プレビュー:なじみ性のケースヒストリー

耐薬品性に優れ、ほとんどすべての流体に使用できます

化学的に不活性な100% ePTFEからなるゴア® ガスケットテープシリーズ500は、酸、アルカリ、溶剤等のほぼすべてのプロセス流体で使用できる汎用性の高いガスケットテープです。そのため、ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、流体に応じて複数のガスケットを使い分ける必要がなく、1種類のガスケットで対応できます。(注)アルカリ金属、フッ素ガス、重合性モノマーには使用できません。

One small spool of GORE Gasket Tape Series 500 saves time, money and space compared to large prefabricated gaskets that are hard to store and handle.

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、非常に大きな一体型ガスケットの注文、保管、取り付けに必要な時間とコストを削減できる製品です。

トータルコスト削減とトラブル低減

ゴア® ガスケットテープシリーズ500は、ガスケットとしての特性だけで無く、さまざまな要素において大きな利点をもたらします。

従来の一体型ガスケットの場合の設計、仕様確定、調達、輸送、保管、施工に関連した多くの期間、経費、複雑さといった煩わしさから開放されます。

ゴア® ガスケットテープ シリーズ500は、シール性能において他に類を見ない高い信頼性を発揮すると同時に、ガスケットの設計、施工をより迅速に行い、その費用対効果を高めることが可能です。

»ゴア® ガスケットテープ シリーズ500の取り付け方法は、取付手順書を参照ください。

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技術データ

材料
  • 多方向に高い強度を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)
  • 本製品には、製品の取付けを補助するための粘着テープが付属しています。
耐薬品性 アルカリ金属フッ素ガスおよび重合性モノマーを除く、pH0~14のほとんどすべての流体に耐性があります。
使用可能範囲 使用可能範囲は、温度、圧力、フランジサイズ、締付圧、施工方法など、使用条件に依存します。
  • 通常使用範囲:-60℃~230℃、;
    中真空(1)°(1)~4MPa
  • 最大使用可能範囲:-269℃~315℃、中真空(1)°;
    f~7MPa


F通常使用範囲外での使用においては、各使用条件に特化した設計を行い、十分に注意して施工されることを推奨します。また、熱サイクルを伴う場合、熱サイクル後に機器が常温に戻った時点で増し締めを行うことを検討してください。さらに詳しい説明が必要な場合は、お問い合わせください。

保管可能期間 ePTFEは経年変化が起こらないため、長期の保管が可能です。粘着材の劣化を最小限に抑えるためには、室内で常温以下の環境(2)にて保管し、ご購入日から2年以内にご使用ください。


(1)絶対圧1 mmHg(Torr) =133Pa=1.33mbar=0.019psi
(2)21°C、相対湿度50%

ゴア® ガスケットテープ シリーズ500は、幅、厚み、長さをさまざまに組合せて購入いただけます。

部品はメートル寸法で製造されています。

厚み
10mm 3 mm
6 mm
15 mm
20 mm
25 mm
30 mm
40 mm
50 mm
試験データ
  テスト温度 厚み
3 mm 6 mm
クリープ緩和 23 °C 5% 10%
169 °C 43% 54%


EN 13555に基づいて、この試験は、幅30mmのテープを使用し、装置剛性500 kN/mm、シール可能な最小限の締付圧で行われました。

  厚み
3 mm 6 mm
窒素漏えい量0.1 mg/(s·m)を達成するために必要な最小限の締付圧 19 MPa
(2,755 psi)
23 MPa
(3,335 psi)


この試験は、直径230mmのリング状に成形した幅30mmのテープを使用して行われました。

試験結果

  厚み 試験温度 初期ガスケット応力 テストステップ1 テストステップ2
VDI 2200 (06-2007)
DN40 / PN40 Steel
3.0 mm 230 °C 30 MPa
(4,351 psi)
OK、60 bar
(870 psi)
OK、60 bar
(870 psi)

» Blowout証明書を取得する

テスト方法の概要

“VDIガイドラインの目的は、技術的なスタンダードに基づき、適用されるシールの条件を分析・整理することです。さらに、最新の研究成果を含む条件を完備し、特にガスケットを考慮したフランジジョイントの選択、解釈、設計、組み立てにおいてユーザーに助言します。"平滑なフランジを用いたシールシステムにおけるブローアウトテストは、現状のテスト技術に対応しています。シール材単独ではブローアウトへの安全性を達成できません。それは常にフランジジョイントのシステム全体に依存します。

一般的なテスト手順

  1. 締付トルクを4段階(目標トルクの25%、50%、75%、100%)で目標トルクまで締付けます。締付圧、ガスケット厚さは試験成績書に記載されます。内部の圧力によるフランジを押し広げる力は、締付力に付加されます。
  2. 締付けて5分後に目標トルクまで増締めします。
  3. 循環ヒーターもしくはカートリッジヒーターで、2℃/minでフランジを加熱します。
  4. 最低48時間、蓄熱温度を維持します。
  5. フランジを常温まで冷却します。
  6. 残留トルクを測定します。

テストステップ1

ブローアウトテストは窒素ガスにて呼び圧力の1.5倍までの圧力で行われます。必要に応じて、より高い圧力でのテストも可能です。内圧は、目標の圧力まで5barずつ段階的に上昇させます。各圧力の保持時間は最低2分です。

5秒以内にΔp≧1bar-(V0=試験室容積)の圧力変化があった場合、「ブローアウト」と定義されます。達成された内圧は、試験記録に記載されます。最高試験圧力までブローアウトが発生しなかった場合、試験ステップ2に従って試験を継続します。

テストステップ2

内圧を抜きます。締付圧は内圧によって押し広げられる力に相当する5N/mmほど低下します。締付圧の変化量は、試験報告書に記載されます。

資料: Verein Deutscher Ingenieure e.V.: VDI2200: Tight flange connections - Selection, calculation, design and assembly of bolted flange connections, June 2007, page 4
Source: ibidem, page 64

  テスト温度 厚み
3mm 6mm
許容締付圧 常温 170 MPa
(25,000 psi)
160 MPa
(23,000 psi)


EN 13555に基づき、65mm×85mmのリングガスケットを使用して試験を実施しました。上表の値は実測値であり保証値ではありません。ゴア® ガスケットテープ シリーズ500の許容締付圧は100MPaとしてお取り扱いください。

ガスケットデザインファクター
厚み 3 mm 6 mm
m 2.5 2.5
y 19 MPa 23 MPa


この試験は、直径230mmのリング状に成形した幅30mmのテープを使用して行われました。

ガスケット係数mおよび最小設計締付圧力yは、ASME Boiler and Pressure Vessel Research Code Division 1 Section VIII Appendix 2に規定されたフランジ設計に用いられるガスケット定数です。ガスケットのリーク量に対する最小設計締付圧力Yおよびガスケット係数mは、現在ASTM F03ワーキンググループで新しい試験法として提案されています。

ガスケット定数の定義

ガスケット係数 mは、シールが達成された使用状態(内圧作用時)における、内圧に対するガスケット面圧の比です。

最小設計締付圧力yは、フランジの応力計算における、設計上必要なガスケット締付け時の最小ガスケット面圧です。応力計算では、この面圧以上でシールのための「なじみ」が達成されると仮定しています。※参照元:JIS B 0116 パッキン及びガスケット用語実際の締付けにおいて、JIS B8265に準拠したmとyを用いた締付荷重では、通常使用可能範囲すべてにおいて石鹸水による漏れ試験をパスすることができない場合が多く、以下の推奨最小締付圧にて計算された締付荷重・締付トルク以上で締付けることを推奨しています。締付荷重・締付トルク計算方法の詳細に関しましては、お問い合わせください。推奨最小締付圧40MPa

EN13555およびAD 2000 B7におけるガスケットデザインファクターについては英語ページを参照ください。

認証& アプリケーション情報

TA Luft1試験では、ガスケットはDN40/PN40の鋼製フランジに通常は締付圧30MPaで取り付けられます。その後、フランジは定められた温度に48時間以上さらされます。冷却後、24時間以上にわたって漏れ量を測定します。試験圧力は1barのヘリウムです。

TA Luftの基準に合格するには、24時間後の最終的な漏えい量が、1.0×10–4mbar*l/(s*m)未満である必要があります。

厚さ3mmと6mmそれぞれでTA Luft 認証を取得しています。

1Federal Ministry of Germany for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety: First General Administrative Regulation Pertaining the Federal Emission Control Act (Technical Instructions on Air Quality Control - TA Luft), Joint Ministerial Gazette, July 30, 2012.

Federal Institute for Materials Research and Testing(BAM)は、液体および気体の酸素を使用するフランジに使用するシール材の適合性をテストします。テスト方法と結果の詳細については、テストレポートを参照ください。なお、本テストは、粘着剤を使用しない状態で実施しました。

フランジ腐食の原因となる水溶性のフッ化物や塩化物イオンの溶出量を測定する試験です。塩純水中で約95℃、24時間浸漬させます。このテストがお客様のアプリケーションに必要な場合は、お問い合わせください。

ゴア® ガスケット製品は、成形品の定義を満たしているため、製品安全データシート(MSDS)や安全データシート(SDS)の添付は必要ありません。ご参考までに当社製品の使用目的および適切な取り扱いを記載した製品安全シート(PSS)を掲載します。

ゴアは、ISO9001の認証を取得しています。

ゴアの選べるガスケット

関連資料

 


本製品は、工業製品に限定してご使用ください。

食品、医薬品、化粧品または医療機器の製造、加工、包装工程にはご使用いただけません。