筐体内部の負圧を解消し、浸水や腐食を防ぐゴア® プロテクティブベント
ORCA® 落水警報システムの世界的メーカーであるBriarTek社は、密閉された警報機筐体内でのガス蓄積を防ぐため、バッテリーから発生するガスを外部へ放出する必要がありました。同時に、水没保護等級IP67を満たすことも求められていました。

背景
ORCA® 落水警報システムの世界的メーカーであるBriarTek社は、軍要員の安全確保を目的とした送信機、受信機、方向探知機を開発しています。甲板作業員が装着するコンパクトサイズの送信機は、水没後3.5秒で自動的に作動し、船上の受信機へ信号を送信して警報音を発します。この信号は緊急救助機関が運用する複数の方向探知機でも受信され、水中の要救助者の位置特定と救助に活用されます。BriarTek社は近年、この技術を拡張し、新たにグローバル通信システム「Cerberus」を開発しました。これにより、アウトドア愛好者は、遠隔地を移動中であっても、家族や友人と連絡を取り続けることが可能となります。
課題
BriarTek社は、警報システムの設計においていくつかの課題に直面していました。まず、政府の規格要件により、警報システムには特定のバッテリーを使用する必要がありました。これらのバッテリーから発生するガスが筐体内に蓄積しないよう、外部へ排出するための経路を確保する必要がありました。一方で、水没に対する保護等級IP67の要件も満たす必要があったため、ガスを逃がすために迷路状の通路や開口部を設けることはできませんでした。しかし、筐体を完全に密閉してしまうと、ガス発生時にバッテリーからのガスを排出できなくなります。さらに、密閉型筐体は、外部の気圧が内部より低くなる場合(負圧差)を十分に考慮して設計されていないため、筐体内部にガスが蓄積し、爆発につながるおそれがあります。
BriarTek社が直面した3つ目の課題は、システムを世界各地の顧客へ輸送する際に生じる筐体内部の圧力差への対応でした。多くの輸送コンテナは与圧されていないため、警報および追跡システムは、特に高高度において大きな圧力差にさらされる可能性があります。高度変化による圧力差を適切に調整できない場合、内部に負圧が発生し、デバイスが膨張したり、最悪の場合には破裂するおそれがあります。このため、BriarTek社は、水没時に電子機器を保護しつつ、バッテリーから発生するガスを安全に排出でき、さらに輸送中においても筐体内部の圧力を外部と均等できるソリューションを必要としていました。
ソリューション
代替案を検討した結果、BriarTek社は用途に応じて複数のゴア® プロテクティブベントを採用しました。BriarTek社の製品開発担当メカニカルエンジニアであるAlex Rich氏によると、ベントは各デバイスのサイズおよび必要な通気量に基づいて選ばれました。例えば、ORCA®送信機およびCerberLink™衛星メッセージングデバイスには、できるだけ小型で通気量の少ないベントが必要でした。そのため、ポリプロピレン製ハウジングと組み合わせた、外径2.35 mm、通気量7 mL/minのベントが採用されました。一方、ORCA®方向探知機のアンテナシステムはより大型で、内部の空気容積も大きいため、熱可塑性エラストマー製ハウジングを備えた、外径10 mm、標準通気量44 mL/minのゴア® ベントが採用されました。
Rich氏は、ベントの取り付けは非常に簡単だといいます。「当社では、ユーザーの操作を妨げず、外側から容易に取り付けることができ、筐体内部のスペースも占有しないプレスフィット(圧入)タイプのベントを選びました。柔らかいプラスチック製の押し棒で、ポータブルデバイスのバッテリードアや方向探知機の前面にベントを圧入するだけです。また、ベントは薄型設計なので、ユーザーが誤って破損するリスクも抑えられます」
ベントの性能について、Rich氏は次のように述べています。「私たちが初代ORCA® TX-104にゴア® プロテクティブベントを採用したのは5年以上前ですが、これまで一度も不具合は発生していません。人命を守ることを使命とする当社にとって、過酷な環境下においても信頼性の高い性能を確保することは不可欠です。そのため、当社はゴア® プロテクティブベントを自社製品に採用しています」
本製品は、一般工業用途に限定してご使用ください。
食品、医薬品、化粧品、医療機器の製造、処理、または包装作業にはご利用いただけません。
