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最新の産業用自動化機器は、従来機器と比べてはるかに高速に動作し、ビジョンシステムや多数のセンサーを搭載しています。こうした機器では、ケーブルやケーブル管理装置に想定を超える負荷がかかる可能性があります。ケーブルに加わる負荷は、自動化機器の信頼性に直結します。そのため、高屈曲用途におけるケーブルへの負荷を理解することが重要です。適切な知識をもとに設計段階から対策を講じることで、システム全体の信頼性向上につながります。
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ゴア® トラックレス高屈曲ケーブル

ケーブルは、図1に示す4つの基本動作のいずれか、またはその組み合わせによって屈曲します。ケーブルが繰り返し曲げられるたびに、内部の銅導体やシールドには負荷が加わります。銅は、極限降伏点(伸び率15%)以下の負荷であっても、繰り返し応力に対する耐性が低いという特性があります。また、せん断応力に対する耐性も低く、塑性降伏点以下の負荷でも変形が生じる可能性があります。

銅導体やシールドの疲労を抑え、断線を防ぐためには、ケーブルの曲げ半径を可能な限り大きくし、ケーブル径をできるだけ小さくすることが重要です。

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動作環境では、ケーブルは曲げ伸ばし、左右の首振り、ねじれ、およびランダムな屈曲といった動きにさらされます。

図1: ケーブルは曲げ伸ばし、左右の首振り、ねじれ、およびランダムな屈曲といった動きにさらされます。

屈曲によるケーブル故障の主な原因は、以下の3つです。

  • ケーブルおよび導体絶縁材の劣化
  • 屈曲部における導体およびシールドの疲労
  • 終端部における導体およびシールドの疲労

ケーブルジャケットや絶縁材が劣化する原因の一つは、他のケーブルやホース、ケーブルトラックなどとの継続的な摩擦による摩耗です。さらに、金属やプラスチックの削りくず、溶剤、潤滑油などの影響により劣化することがあります。加えて、極端な温度条件や低気圧(真空)環境も、ジャケットを弱化させたり脆化させたりする要因となります。

こうした環境要因に加え、導体絶縁材は圧壊によっても劣化することがあります。一般的な丸形ケーブルの導体は、ケーブルトラック内で他のケーブルやホースとともに固定・屈曲される際に大きな圧縮力を受け、損傷することがあります。

ケーブルジャケットが破損すると、内部構造が外部環境にさらされます。液体が存在する場合にはその液体がケーブル内部に浸入し、最終的に導体間の短絡を引き起こす可能性があります。また、研磨性粒子が導体絶縁材を損傷し、故障につながることもあります。ケーブル全体にシールドが施されている場合は、シールドがグラウンドに対して開放(断線)状態となります。

ケーブルの屈曲による故障で最も一般的なのは、屈曲部においてシールドや導体が最終的に断線するケースです。シールドが先に破損した場合でも導体自体は機能し続けますが、ケーブルは電磁波干渉(EMI)や無線周波数干渉(RFI)、不要輻射の影響を受けやすくなります。その結果、原因の特定が困難なエラーや誤信号が発生する可能性があります。

導体やシールドが断線するメカニズムを理解するためには、応力解析の基本概念を確認する必要があります。剛体の曲げに対する抵抗は、素材特性、形状、断面積、曲げの曲率半径によって決まり、物体内部に生じる応力(σ)として表されます。これは、次の式で示されます。

 

σ =

Mc
I

各記号の意味は以下の通りです。

M = 曲げモーメント

c = 中立軸から断面内の任意の繊維までの距離

I = 断面二次モーメント

σ = 距離cにおける繊維の応力

一般的な屈曲ケーブル用途では、機械設計上の制約や機器レイアウトなどにより、曲げ形状があらかじめ定められています。そのため設計者は、こうした制約の中で、屈曲寿命を低下させる導体への負荷を可能な限り抑える必要があります。

屈曲疲労寿命を左右する最も重要な要素は、ケーブル各部に生じる最大応力です。曲げ半径が最小値(Rmin)を下回らないと仮定した場合、この最大応力は次の式で表されます。

 

σmax =

Ecmax
______
Rmin

各記号の意味は以下の通りです。

E = 弾性率

(psi単位。ETP銅の場合は17,000,000)

Cmax = 中立軸から任意の繊維までの最大距離

Rmin = 曲げ半径

シールド付きフラットリボンケーブルは自立型であり、曲げ伸ばし、ねじれ、左右の首振りなど、ほとんどの屈曲用途に使用できます。

なお、この関係式は断面二次モーメント(I)を含まないため、断面形状の違いにかかわらず適用可能です。

ケーブルにかかる負荷は、厚さまたは直径(Cmax)を小さくする、あるいは曲げ半径(Rmin)を大きくすることで最小限に抑えることができます。また、銅よりも引張強度の高い導体やシールド材料を選択することで、負荷の影響を軽減できます。

屈曲試験の結果によると、繰り返しの屈曲による加工硬化が進むにつれて、銅導体やシールドの電気抵抗が増加し、金属は脆くなっていきます。また、機器のサイクルレート(動作速度)が高いほど銅内部の発熱は大きくなり、曲げ半径が小さい場合にはさらに温度上昇と疲労が進行します。温度の上昇は絶縁材の軟化を引き起こし、摩耗耐性、切断耐性、引張強度といった物理特性の低下を招きます。これらの変化は、いずれもケーブルの早期故障につながる要因となります。

動作中のケーブルに生じる曲げ応力や振動は、コネクタや圧着・はんだ付けされた終端部の破損を引き起こす要因となります。適切に支持されていない場合、コネクタ接続部に疲労が集中し、早期故障につながります。

また、高速で移動するキャリッジ(可動部)によって、ケーブルが鞭のように急激に引っ張られ、断線が発生する可能性があります。高速屈曲用途では、張りのあるケーブルの方が、柔らかく垂れ下がるケーブルよりも曲げや屈曲に対して高い耐性を示します。

屈曲用途におけるケーブルの信頼性を高めるためには、材料と構造の両面から設計を最適化することが重要です。中でもケーブルサイズは、屈曲寿命を左右する最も重要な要素です。曲げ半径を一定に保ったままケーブル径を小さくすることで、屈曲寿命は大きく向上します。

標準的な銅導体であってもケーブルのサイズと重量を抑えることで、コストを抑えながら屈曲寿命、すなわち信頼性を高めることができます。まずは、高い絶縁耐力と優れた耐引裂性を備えた、できるだけ薄い導体絶縁材の採用を検討してください。導体絶縁材を薄くすることで、ケーブル全体の直径を小さくでき、屈曲による負荷の影響を受けにくくなります。ゴアのMIL-ENE絶縁材*は、同等材料と比べて50%薄く、肉厚0.004インチ(0.1 mm)で300 V RMSの定格電圧を備えています。

ケーブルの撚り構造と導体ピッチも、丸形ケーブルの屈曲寿命を延ばすうえで重要な要素です。ケーブルの撚りピッチや導体の1インチあたりの撚り回数、導体ピッチを最適に調整することで、コストを増やすことなく、用途に応じた屈曲寿命の大幅な延長が可能になります。

次に、シールドの設計について説明します。ケーブルのシールドは中立軸から最も離れた位置にあるため、大きな負荷を受けやすく、しばしば最初に故障します。この課題に対処するためには、2つの設計要素が重要です。

第一に、標準的な編組シールドを、屈曲寿命とシールド性能を最適化した二重横巻きワイヤーシールドに置き換えます。第二に、摩擦による発熱を抑えて屈曲寿命を延ばすため、シールドを導体およびアウタージャケットから隔離します。その際には、静摩擦係数・動摩擦係数のいずれも低い材料を使用します。

ゴアの延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)**は、ケーブルに使用される材料の中でも特に低い摩擦係数を誇ります。同軸ケーブルの絶縁材から、柔軟なジンバルケーブルの高耐久アウタージャケットに至るまで、幅広い用途で使用されています。

最後に、ケーブルジャケットについてです。ケーブルジャケットは、シールドと導体を外部環境から保護します。適切に固定・終端処理されたケーブルでは、ジャケットは引張強度や屈曲寿命の向上にも寄与します。

理想的なジャケット材料は、薄くて引張強度が高く、引き裂きや作動油、切削油、溶剤に対する耐性を備えたものです。ポリウレタンはケーブルジャケットに適した材料であり、難燃性を備え、ほとんどの工業用流体に耐性を持ち、優れた摩耗耐性を発揮します。

高速自動化機器では、最高品質の丸形ケーブルであっても繰り返し屈曲により故障する可能性があります。サイクルタイムの短縮に伴い、ケーブルやケーブル管理システムの重量もパフォーマンスを制限する要因となります。

こうした課題に対応するには、リボン状電源ケーブルが優れた選択肢となります。標準的な電源ケーブルと比較して屈曲寿命は約100倍、重量は約4分の1であるため、可動ケーブル束の質量を大幅に低減できます。その結果、より高い加速度の実現、振動や揺れの低減、摩耗の抑制につながります。

リボン状ケーブルは、多くの場合、ケーブルチェーンを使用せずに屈曲・移動させることができます。自立型構造のため、適切なクランプやガイドを用いることで、曲げ伸ばし、ねじれ、左右の首振りなど、さまざまな屈曲動作に対応可能です。さらに、ジャケットに成形された取り付けブラケットを組み込むこともでき、設置作業にかかる労力とコストの削減に貢献します。

従来使用されてきたケーブルは、次世代の機器設計で求められる要件に必ずしも対応していません。軍事用途や自動車用途などの関連分野で実証された材料を採用し、ケーブルの基本設計を見直すことが重要です。こうした取り組みが、高速自動化機器の要求を満たす高信頼・低コストなケーブル設計につながります。

参考文献

1Moll, Kenneth W. and McCarter, David R., W. L. Gore & Associates, Inc., Flex Life in Cables, Electronic Packaging and Production, June 1976, p. 29-30, 3435.

*MIL-ENE絶縁材は、ゴア(デラウェア州ニューアーク)が提供しています。

**ePTFEは、ゴア(デ ラウェア州ニューアーク)が提供しています。

本製品は、一般工業用途に限定してご使用ください。

食品、医薬品、化粧品、医療機器の製造、処理、または包装作業にはご利用いただけません。